寝だめをすると生理痛に影響が…!?生理と睡眠の関係

2020.12.15


女性にとって身近な現象である月経(生理)――。
生理の前には異様な眠気を感じる人も多く、気になるのが生理と睡眠の関係です。

そこで今回は「生理の重さが睡眠習慣の乱れと関係している」という研究結果を発表した駒田陽子先生を監修役に、
生理前の眠気対策や生理の重さを引き起こさないための秘訣、さらには駒田先生自身がおすすめする
上質な睡眠を得るための方法まで、生理と睡眠の関係についてお届けします!

生理前の眠気対策は「生理後の卵胞期」にあり!
まず、「生理と睡眠の関係」というフレーズから思い浮かぶのが、生理前に感じる日中の強い眠気です。
駒田先生も「月経前や月経中に、眠気を感じる女性は多いです」と指摘。
では、この眠気に悩む女性は、どうすれば良いのでしょうか?

「黄体期に経験する、日中の眠気に対する直接的な対策は難しいのですが、深部体温のメリハリが大きく、
質の高い睡眠をとりやすい卵胞期のあいだに心身をケアし、黄体期に備えるとよいと思います」(駒田先生)。

では、しっかり眠るためには、どのような心掛けが必要なのでしょうか?

「午前中に明るい光をしっかりと浴びること、そして食事の時間をできるだけ一定に整えることです。
午前中に日光を浴び、朝食を食べることで、体内時計が『朝だ!』と認識します。
そうすることでカラダのリズムが整い、スムーズな入眠と良質な眠りにつながるはずです」と指摘します。

さらに駒田先生は、「多くの人が、自分に必要な睡眠時間を知らないことも問題です」と警鐘を鳴らします。
自分が睡眠不足であることに気づかないまま、疲労を蓄積している人が少なくないのです。

自分に必要な睡眠時間を知るためには長めの連休を利用して、十二分に眠る生活を送ってみること。
日ごろの睡眠不足や疲労の蓄積により、初日は10時間でも優に眠れる人が多くいるはずですが、それが次第に減少。
最終的な睡眠時間の平均値が、その人にとって必要な睡眠時間だと考えられます。

国立精神・神経センターが大学生約20人を対象に行なった、9日間にわたる睡眠充足実験によると、
最終的な睡眠時間の平均値は約8時間25分。実験前の平均睡眠時間は約7時間20分となっていて、
1時間もの開きがあるという結果に。また、十分に睡眠を取った後に血液検査をしたところ、
生活習慣病やストレスに関わる内分泌機能に改善が認められたそうです。


生理が重くなる要因は「社会的ジェットラグ」!?
人間科学の観点から、眠りにまつわる研究を行う駒田先生。注目すべきは、駒田先生が2019年2月に発表したのが、
「月経に伴う愁訴が睡眠習慣の乱れと関係している」という研究結果です。

駒田先生は大学に通う女性150人を対象に、生理に伴う症状の重さと睡眠習慣について調査。
その結果、平日の睡眠不足を補うように休日に長く眠る、いわゆる寝だめをする人は、寝だめをしない人に比べて、
痛み・むくみ・集中力低下・行動変化といった生理に伴う症状が強くなる傾向にあることがわかったのです。

寝だめをすると、どうして生理に伴う症状が重くなるのでしょう?
「今回の研究では、因果関係や関係性のメカニズムまでは解明できていません。
ただ、1時間以上の『社会的ジェットラグ』が生じている女性は、
月経に伴う症状が重い傾向にあることが見えてきました」(駒田先生)。

駒田先生が指摘する「社会的ジェットラグ」とは、社会的に強いられる生活時間と体内時計の不一致から生じる
時差ボケのこと。私たちは時差のある地域間を移動すると、生活リズムと体内リズムにずれが生じます。
その結果、夜眠れなかったり、日中ぼんやりとしたり、体調に変化が生じますが、社会的ジェットラグも同様です。
平日と休日の睡眠時間がずれることで体内リズムが乱れ、心身に不調を来すことがあるのです。

寝だめをするにも起床時間は「平日と同様」に!


しかし忙しく働く現代女性にとって、平日に十分な睡眠時間を確保することは容易ではありません。
そこで駒田先生が推奨するのが「休みの前の日に夜ふかしせずに少し早めに就寝して、
休日の朝寝坊は1時間程度におさえること」です。

この理由について駒田先生は「繰り返しになりますが、私たちは朝、
決まった時間に明るい光を浴びることで体内時計を調整し、一日をスタートさせます。
週末に朝寝坊をして光を浴びられないと、体内時計は夜型の方向にずれてしまいます」と指摘。

平日の就寝時間が深夜0時、起床時間が午前6時の人を例にした場合、深夜2時に寝て、
午前10時に起きるような寝だめではなく、午後11時に寝て、朝7時に起きるような睡眠習慣の方が、
リズムを崩さずに睡眠時間をプラスできるのでおすすめです。
平日と休日の起床時間のズレが大きくなると心身の不調が現れやすい傾向にあります」(駒田先生)。

社会的ジェットラグを起こさないためにも、良質な睡眠をとるためにも、体内時計のリズムを整えることが大切。
起床後に日光を浴び、朝食をとり、カラダをしっかりと目覚めさせることが必要なんですね。

また、平日の睡眠不足を補うには、休日にお昼寝をするのもひとつの手。
「本来は平日に睡眠不足にならないようきちんと睡眠時間を確保することが大切なのですが、
とはいえ平日はもうこれ以上睡眠時間を延ばすことができない。
休日に平日の睡眠負債を返済したいと思われる方もいますよね。
その場合、朝寝坊で睡眠を補うのではなく、朝は平日と同じくらいの時間に起きて光を浴び、
体内時計をリセットして、1日の途中にお昼寝を挟むほうが、体内リズムが乱れにくいのです」(駒田先生)。

ただし、その日の夜にぐっすり眠れる程度のお昼寝にとどめること。
駒田先生も「休日に限っていえば、15~20分の短時間仮眠ではなく、長めの仮眠をとっても構わないと考えます。
しかしお昼寝のせいで夜眠れなくなっては悪循環。
昼寝は15時頃までに切り上げることをおすすめします」と指摘します。

「十分な睡眠を規則正しくとるような生活を習慣化すると、体調も気分も安定するでしょう。
日中のパフォーマンス向上につながり、今より効率的に仕事をこなせるかもしれません。
効率的に仕事をして、夜はしっかり眠る、というサイクルになるといいですね」(駒田先生)。
***

いかがでしたか?
駒田先生が教えてくれたように睡眠習慣を整えることで、生理前や生理中のお悩みにも
、前向きに向き合うことができるはず。そして睡眠習慣を整えることは、生理にまつわるお悩みにとどまらず、
日常生活にも好影響を及ぼします。ぜひ、参考にしてみてくださいね!




明治薬科大学リベラルアーツ准教授

駒田陽子 先生
早稲田大学大学院人間科学研究科生命科学専攻博士課程修了。2017年から現職。日本睡眠学会評議員、日本時間生物学会理事。人間科学の観点から眠りにまつわる研究を行い、睡眠の重要性を説く講演活動も行う。近著は井上雄一氏との共著『子どもの睡眠ガイドブック:眠りの発達と睡眠障害の理解』(朝倉書店)。
トップへ