仕事効率アップ!眠りの研究員が教える仮眠のコツ

2020.11.12


最近、ビジネスパーソンの注目を集めている「パワーナップ(power-nap)」。
つまりはお昼寝のことですが、これは「15~30分程度の短時間の仮眠」という意味で、
仕事の効率アップに一役買うと話題となっています。でも、お昼寝をすると寝起きに
頭がボーッとしてしまいそうだし、そもそも仮眠できる環境もないし…なんて方も多いはず!

そこで今回は、西川の研究機関である「日本睡眠科学研究所」の一員でもある安藤翠さんにインタビュー。
仮眠がもたらす効果はもちろん、西川の東京オフィスに登場した仮眠専用のスペース「ちょっと寝ルーム」に
施された工夫から、自分のデスクでも実践できる仮眠のコツをお届けします!

お昼の眠気は生理現象!仮眠は誰しもに効果的

━仮眠スペースとして開設された「ちょっと寝ルーム」。仮眠には、どのような効果があるのでしょうか?

安藤:仮眠をとることで疲労回復が期待でき、集中力や作業効率がアップすることが分かっています。
つまりは、午後の仕事のパフォーマンスが上がるんです。西川で「ちょっと寝ルーム」を導入したのは2019年2月。
半年以上が経過し、徐々に利用する社員が増えていますが、実際に「午後のパフォーマンスが向上した」
という声が上がっています。
「仮眠を取ることで心身が落ち着き、リフレッシュしてから午後の仕事に臨める」という声も多いですね。

━そもそも「ちょっと寝ルーム」を導入した理由を教えてください。
寝具メーカーの老舗であり、眠りへの意識が高く、眠りの質が高い人が多いのでは?

安藤:仮眠というと「睡眠不足の人がするべき行為」というイメージがあるかと思いますが、
実はそうではないんです。眠りの質や睡眠時間にかかわらず、「仮眠は誰にとっても有益な行為」
という研究結果が出ています。というのも人間は、寝不足かどうかに関係なく、
お昼ごろには眠たくなって当然。眠たくなるのは、ごく自然な生理現象なんです。

━お昼ごろに眠気を感じるのは、自然なこと?

安藤:人のカラダには「体内時計」という機能があって、朝、自然と目が覚めるのも、夜になると眠くなるのも、
この体内時計が機能しているから。体内時計は約24時間のサイクルで動いていますが、実は人体には、
約12時間サイクルの体内時計もあるんです。12時間は1日の半分ですから、1日に2度の眠気のピークが訪れ、
そのひとつが昼食後の時間帯。このサイクルで考えれば、お昼ごろに眠たくなるのは、
体内時計が正常に機能している証拠ともいえるんです。



━なるほど!当然のメカニズムと考えると、仮眠に対する考え方も変わりますね。

安藤:そうなんです。ですから夜の睡眠が十分に足りていたとしても、仮眠は有益。
西川では2019年2月に京都・大阪・東京の西川三社が合併し、合併をきっかけに東京オフィスで
採用していた制服が廃止になりました。制服の廃止によって更衣室が必要なくなり、
空き部屋になった更衣室を利用して、仮眠のための「ちょっと寝ルーム」を開設したんです。

睡眠研究の結果が凝縮された「ちょっと寝ルーム」


━では、仮眠に特化した「ちょっと寝ルーム」には、どのような工夫が施されているのでしょう?

安藤:「ちょっと寝ルーム」が仮眠専用のスペースとして利用できるのは、毎日12~15時の3時間です。
そして仮眠は15~20分が適切と考えられているため、15分ごとの入れ替え制を取っています。
仮眠をとるのが15時を過ぎたり、20分を超えたりすると、今度は夜の睡眠の妨げになります。
「お昼寝をしすぎて、夜、眠れない!」という事態を避けるため仮眠をとるタイミングや時間を
守ることがポイントです。

そして特徴的なのが、ベッドの角度ですね。
フラットなベッドで横になってしまうと、眠りが深くなってしまい短時間では起きづらくなります。
また、仮眠をとるのが昼食後であることも考慮して、食べたものが逆流しづらいよう、仮眠用のベッドには
30度の傾斜をつけているんです。
入眠しやすく、それでいて眠りすぎない30度という角度は仮眠には最適な環境と言えます。


15分の間に音や照明が変化。暗くなり天井に星空が投影されたり、アロマの香りが出たりと、
眠りやすい工夫が施されています

━たしかに完全に横になってしまうと、仮眠どころではなくなってしまいそう…。

安藤:そうなんですよね(笑)。そこで「ちょっと寝ルーム」では、室内の音や照明にも工夫を凝らしています。
15分のあいだに、音や照明が変化していくんです。音に関しては入眠段階に穏やかな波の音が流れ、
目覚めの段階には軽やかなメロディが流れます。
途中に静かな段階を挟みますが、まったくの無音ではありません。無音にすると少しの物音にも敏感になり、
かえって眠りづらい人も多いため、心地いい程度のノイズを混ぜています。

照明に関しては、入眠の段階には黄色みがかった温かみのある色。そこから徐々に暗くなり、
目覚めの段階に向けて明るくなっていきますが、目覚めのときには黄色ではなく、白っぽい色の照明にしています。
人はしっかり明るい光を浴びることで活動のスイッチが入り、すっきりと目覚められるんです。
これは仮眠だけでなく、朝目覚めたときでも有効ですのでぜひ試してみてください!

仮眠環境がない人の味方は“枕とコーヒー”!


━しかし、仮眠の専用室がない企業が多いのも実情です。
自分のデスクで取るような仮眠にも、パフォーマンス向上の効果はあるのでしょうか?

安藤:もちろんです。仮眠専用のスペースでなくとも、15~20分の仮眠を取ることで、
集中力や作業効率が上がるという研究結果があります。そこでオススメなのが仮眠用の枕を使うこと。
デスクに突っ伏して眠ると、カラダが痛くなりがちですよね。それが専用の枕などを使うことで
腕にかかるカラダの重みが分散され、ラクに眠れるようになるんです。
専用の枕がない場合にはタオルをくるくると丸め、代用しても大丈夫ですよ。
周囲が気になって眠れない方は、アイマスクを使うのもひとつの手です。

━仮眠の後、すっきり目覚めるための方法はありますか?

安藤:オススメは、仮眠の前にコーヒーを飲むことです。「コーヒーナップ」といって、今話題の方法です。
コーヒーにはカフェインが含まれていますが、カフェインの覚醒効果が現れるのは、実は飲んでから
約15~30分後と言われています。ちょうど、推奨される仮眠時間と同じなんです。
ですから一杯のコーヒーを飲んでから15分程度の仮眠をとると、起きるころにカフェインが効果を現し始め、
すっきり目覚められるはずです。




━なるほど!昼食を食べ、コーヒーを飲み、仮眠をとってすっきり目覚める。
お昼休みの流れとしても、違和感のない過ごし方ができそうですね。

安藤:そうなんです。西川では食堂の隣に「ちょっと寝ルーム」があり、食堂にはコーヒーサーバーがあるため、
この流れで仮眠をとる社員が多いんです!開設当初は「お昼寝の習慣がないから、眠れるかどうか分からない」
という社員もいましたが、実は仮眠は“慣れ”が必要。
「決まった時間に仮眠をとるようにすると、3日程度で仮眠の習慣が付く」という研究結果もあります。
そして、たとえ眠れなかったとしても、目をつぶってカラダを休めるだけでも、十分な効果が期待できます。
ご自身のカラダのためにも、パフォーマンス向上のためにも、ぜひ、仮眠をとり入れてみてください。


***

いかがでしたか?
安藤さんのお話の通り、お昼に眠くなるのは人の摂理。
デスクでも心地よく眠り、すっきり目覚める工夫を取り入れて、仮眠の効果を実感してみてくださいね!


西川 東京オフィス

安藤 翠

“西川の研究開発室 東京担当。西川の研究機関である「日本睡眠科学研究所」の一員でもあり、「ちょっと寝ルーム」の開設にも従事。

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